小児診療についてPediatric Treatment
小児の患者さんへの診療はやはり、大人の方と違う点があると考えております。
例えば、子供は粘膜が敏感なので鼻水が溜まりやすいのですが、上手く鼻をかむことができないので、鼻水が大人に比べてよく溜まります。 溜まった鼻水を吸引することで、風邪の早期治癒や、副鼻腔炎、中耳炎の予防に効果が期待できますが、鼻の吸引(鼻吸い)は技術や経験に大きく左右されます。
耳鼻咽喉科であれば小児の患者さんに対しても専用の器具を用いて鼻水を吸引(鼻吸い)し、なかなか取りづらい鼻の奥の鼻水を吸引することができます。
さらに、鼻の吸引(鼻吸い)だけでは取り切れない鼻の奥に溜まった鼻水は、鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)を行うことで、しっかりと排出することができます。
子供の場合、大人に比べて抵抗力が弱く風邪から中耳炎や副鼻腔炎(蓄のう症)になりやすいので、早期に鼻の吸引(鼻吸い)や鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)を行うことが大切です。
また、感染症にかかった場合、細菌などの病気の原因に対処するために抗生剤(抗生物質)を処方することがありますが、こちらもやはり大人と子供では処方の仕方や、処方の有無自体も大きく異なります。
当院の鼻の吸引(鼻吸い)、鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)、抗生剤(抗生物質)の使用について詳しくはこちらをご覧ください。
子供の鼻の吸引についてNasal aspiration
鼻の吸引(鼻吸い)について
鼻水は、体内に侵入してきた細菌やウイルスを体の外へ排出する役割を持っています。
大人であれば鼻水が溜まる前に自分でかむことができますが、幼児などの小さなお子様や、うまくかめない子供は鼻水が溜まってしまいます。
鼻水が溜まってしまうと、耳管と呼ばれる鼻と耳を繋ぐ管を通して耳に細菌などが感染し、中耳炎を発症します。
また、溜まった鼻水は副鼻腔炎(蓄のう症)の原因にもなります。
どちらの病気も一度発症すると治癒するまでに時間がかかります。
さらに中耳炎は難聴の原因になったり、言語習得中の子供が発症すると聞こえづらさから言語習得が遅れる場合があります。
副鼻腔炎(蓄のう症)にかかると嗅覚障害の原因となったり、小さなお子さんの場合は滲出性中耳炎というやっかいな中耳炎の原因となる場合があります。
そのため、鼻水が溜まっているようであれば耳鼻咽喉科にて専用の器具を使用して鼻水の吸引(鼻吸い)を行われることをお勧めいたします。
生後間もない赤ちゃんは口出の呼吸ができません。
そのため鼻がつまると大変苦しくなります。
鼻水が溜まって苦しそうなときは、専用の器具で鼻水の吸引をおこないますので受診してください。
当院の鼻水の吸引(鼻吸い)
当院では鼻水の吸引(鼻吸い)をする際に3種類の器具から患者さんに合わせたものを選択し、しっかりと鼻水の吸引(鼻吸い)を行います。
オリーブ管
オリーブ管先端が丸くなっているので、粘膜を傷つける恐れが少なく、主に幼児や、小さなお子様に使用します。
鼻の奥まで挿入することはできませんが、しっかりと吸引を行うことで、鼻の奥に溜まっている鼻水も吸引することができます。
金属製吸引管
金属管先端が細く、鼻の奥まで入れることができますので、鼻の奥に溜まっている鼻水を直接吸引することができます。
小学生や耳鼻咽喉科の治療に慣れている子供に使用します。
どちらの器具を使用しても耳鼻咽喉科の医師が使用することでしっかりと鼻水を吸引することができます。
当院では鼻の吸引(鼻吸い)を行っても鼻水が鼻の奥にある場合に、鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)を行います。
アマツ式吸引管
先端がシリコンで柔らかくなっているアマツ式吸引管は、小さなお子様でも安全にお鼻の奥の鼻水までしっかりと吸引できます。
最後に
お子様の健康維持において重要なことは、鼻水を溜めてしまわずに、しっかりと吸引し鼻の中を良い環境に整えることです。
保護者の方が「風邪ぎみだな。」「鼻水が気になるな。」と思われたら早めにご来院いただき鼻の吸引(鼻吸い)をしていただくことをお勧めします。
たかが鼻水、たかが風邪と侮らずに中耳炎や副鼻腔炎(蓄のう症)になる前に耳鼻咽喉科で鼻の処置をうけましょう。
子供の鼻の洗浄についてNasal cleansing
鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)について
小さなお子さんや、小学生くらいのお子様は保護者の方に上手く症状を伝えられず、発熱や頭痛があった場合、本当は違う病気が原因であっても風邪と早合点してしまうことがあります。
例えば急性中耳炎の場合、発熱に加えて耳に痛みがあるので、風邪とは区別しやすいのですが、滲出性中耳炎の場合、ほとんどの場合耳に痛みはありません。さらに発熱もそれほどひどくないため、風邪の初期症状と勘違いされがちです。 しかし、実際には鼓膜の奥の中耳に液が溜まっており、音が聞こえづらくなっているため、言語習得が遅れたり、治療が遅れると癒着性中耳炎になる場合があります。
副鼻腔炎も同様に治療が遅れると慢性化し、長期に渡っての治療が必要となります。
ですから、それらの原因となる鼻水を吸引し、それでも残る鼻水は鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)をしてしっかりと排出することが何よりも大切です。
小児の患者さんもそうですが、大人の方も鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)を行うと、鼻づまりや頭の重たい感じがかなり改善されすっきりとした状態になります。
当院の鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)
当院では患者さんに合わせた器具を用い、鼻の吸引(鼻吸い)を行った後、鼻の状態を確認して、鼻水が残っていれば鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)を行います。
原理は鼻うがいと同様ですが、当院では鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)の前に鼻の奥を広げる処置を行ってから専用の器具を用いて洗浄を行いますので、ご自宅で鼻うがいをしても鼻の通りが改善しない患者さんにも有効です。
当院では小学校低学年のお子様であればご希望を伺った上で、必要に応じて鼻の洗浄(副鼻腔洗浄)を行います。
最後に
鼻水や鼻づまりは小さなお子さんにとっては、中耳炎や副鼻腔炎の原因となったり、学習に集中できなかったりと良くない影響がありますし、成人の方にとっても、頭がぼーとして仕事や運転に影響を与えますので、鼻水や鼻づまりでお困りの方は一度ご来院ください。
子供への抗生剤の
処方についてPrescription of antibiotics
抗生剤(抗生物質)について
抗生剤(抗生物質)の処方については医師の中でも判断が分かれるところです。 抗生剤(抗生物質)は細菌を殺すお薬です。よく勘違いをされる方がいらっしゃいますが、全ての感染症に効果があるわけではありません。
ウイルスには抗生剤(抗生物質)は効果が無く、抗ウイルス薬を使用する必要があります。
風邪の原因の多くはウイルスのため、風邪だからといって抗生剤(抗生物質)をむやみに処方するのはよくありません。 一方で、原因となっている細菌に効果がある抗生剤(抗生物質)を処方することで、症状が回復したり、場合によっては命が助かるケースもあります。 ですから抗生剤(抗生物質)はしっかりとした判断を下した上で使用することが重要です。
さらに重要となるのが、処方された抗生剤(抗生物質)を医師の指示通り服用するということです。症状が治まったからといって医師の指示を守らずに服用と途中で辞めると体内に残っている細菌に耐性ができ、症状が再発した時に同じお薬を服用しても効果が無くなることがあります。
ですから、抗生剤(抗生物質)を処方された際は、指示された通りに服用することはもちろん、次回の通院の指示を守っていただくことが大切です。
当院での抗生剤(抗生物質)の処方について
当院で抗生剤(抗生物質)処方する際は、診察をして実際の患部を見て、症状を伺った上で必要に応じて処方いたします。
もちろん、患者さんお一人おひとりによってもお薬に対する考え方や、治療に対する希望があることだと思いますので、抗生剤(抗生物質)の処方についても極力ご希望にそって処方したいと考えております。 「子供にはできるだけ飲ませたくない。」や「症状が重症化する前にしっかりと治療をして欲しいから必要であれば処方して欲しい。」など、ご来院の際に受付にご希望をお伝えください。
耳掃除についてEar cleaning
耳掃除は1か月に1回程度で大丈夫!
普段自宅でご自身やお子様に耳掃除をされている方も多いかと思いますが、実は耳掃除が原因で鼓膜や外耳道を傷つけたり外耳炎(外耳道炎)になることがあります。
特に子供や赤ちゃんの皮膚は弱く、ちょっとした刺激で傷ついてしまうので、自宅では簡単なケア程度に留めておき、定期的に耳鼻咽喉科で耳垢を取ってもらうようにしましょう。 特に小児の場合は、症状の無い中耳炎が潜んでいることがありますので、耳の健康診断も兼ねて定期的に耳鼻咽喉科で耳掃除をすることをお勧めいたします。
そもそも耳垢とは、新陳代謝によって排出された外耳道の皮膚や、耳垢腺からの分泌物、ほこりなどが混ざってできたもので、それ自体に害があるものではありません。
むしろ、外耳道や鼓膜を乾燥から防ぎ、防虫効果や、抗菌・抗真菌作用があると言われています。
さらに、さらさらと乾いた乾性耳垢であれば、咀嚼する時や会話の際の顎の動きで自然と押し出されるため、それほど気にする必要はありません。
ただし、赤ちゃんの頃は新陳代謝が活発で、羊水の中にいた影響もあり、耳垢が湿っている(湿性耳垢)ことがあります。この場合はなかなか取りづらいのでやはり、耳鼻咽喉科でケアを受けるほうが良いでしょう。
赤ちゃんの耳掃除
赤ちゃんの場合は特に皮膚がデリケートなので、お風呂あがりにガーゼや綿棒で、耳の入り口を軽く拭く程度で十分です。
当院の耳掃除(耳垢除去)について
当院では、鼻やのどの症状でご来院された子供や赤ちゃんを診察する際にも、耳や鼓膜の状態を確認しています。
そこで耳垢が多い場合や、耳の穴が詰まっているような場合はこちらから耳垢を取っています。
椅子に座っていただいたまま、顕微鏡で耳の状況を確認し、ピンセットや吸引管を使用して耳垢を除去します。
また、耳垢の詰まりが強い場合は、無理にピンセットなどで除去せず耳の中に薬剤を入れてから除去します。
耳掃除をご希望の患者さんは受付でその旨をおっしゃっていただければ、耳垢を取りますので、お気軽に受付にお申しつけください。
最後に
一度外耳炎になってしまうと、耳の中がかゆくなり繰り返し触ってしまうので、長引いてしまうことがあります。
そうならないためにも、自宅では無理に耳掃除をせずに、耳鼻咽喉科で定期的に耳のケアを受けるようにしてください。